APIの歩み

 ㈱APIは創業約40年になります。
 当初はセールスプロモーション企画が主体で、そのためのコンピュータ活用が主な業務でした。その当時はまだ、パソコン一台が約400万円する時代で、パソコンの普及を目的とする業務が多く、外資系のI社や、国内ではN社のセールスプロモーション企画・制作に参画してまいりました。

 そのうち、パソコンによる業務自体の開発に幅が広がり、いわゆる販売管理や経理システムなどのパッケージ業務を除いた「特定の顧客のニーズに対応する」業務を受託するようになりました。いわゆる特定の顧客の特定のコンピュータ活用です。

 当時はまだ、そのようなニーズに応える体制がなかったので、大手企業の特定業務の開発を受けるようになりました。例えば、乳業会社の「牛乳の販売実績から、統計学を用いた季節変動需要予測システム」で、ドットプリンターしかない時代に推移予測をグラフ化し印刷することや、CADの世界で2.5次元しかない時代に、IBM5550のフロッピー媒体を使った完全3次元CADを独自に開発し、完成予測図のパースを大型プロッターで描く事が出来る様になり、このシステムは全国的に某システムキッチン販売会社の営業に大きく寄与しました。

 また、パソコン企業の顧客管理システムへ顧客データを収集するための「心理テストと顧客の販売行動予測」により、「占いと称して、その人の心理特性をデータベース化する」という、現在ではありえないシステムの開発。また、大手企業の要望により、全国の応募者から当選者をランダムで抽出するシステムで、県単位で平均的に当選者を出し、しかも”一度当選した人は二度と当選させない”と言った、一風変わった業務を主体として行ってまいりました。

 当社は、そのような、特殊なニーズの業務開発を受ける会社として認識され始め、そして運命的な「看護婦(看護師)さんの勤務表」づくりが、課題として持ち込まれました。依頼主は神奈川県のある病院で、当時は全くそのようなシステムは無く、唯一類似のシステムとしては米国ロッキード社の「パイロットやキャビンアテンダントのシフト作成システム」で、約6,000万円すると言われていた汎用コンピュータシステム用のアプリケーションしか存在しておりませんでした。試行錯誤の末に採用され、好評を博したのですが、これが広く知れ渡り、神奈川県を中心に、全国公立・私立病院約70個所に採用されました。また、当社のシステムの採用により、大幅な省力化がなされた研究結果が病院の学会で、発表されました。その後、各病院では電子カルテ等の基幹システムの導入が進み、勤務表単体としての機能が、それらの付帯機能に置き換えられて行く中でも、当社のシステムの自動生成機能が必要であった病院については、スタンドアロンの状態で基幹システムの横に置かれ、当社のシステムでスケジュールを作成後、データを基幹システムへ入力するケースも複数ありました。

 当社では「介護システム用の職員のスケジュール作成」を新たに開発し、NDソフトウエアー社を通じて全国ネット販売され、現在までに約400個所に導入されています。

 このシステムにより、病院や介護施設ばかりではなく、ローテーション作成が必要とされるあらゆる業種、たとえばスーパーマーケットや、深夜まで営業するレンタルショップ、通販の電話受付業務、ホテル旅館、交代制で会社出勤する在宅勤務会社など、幅広くお勧めすることができます。

 手作業では10時間近くかかり、一人の休み希望の追加でまた最初からやり直し、という作業はこれからは、当システムで「どんなに細かくチェックして、これ以上ないスケジュールにするのに、1・2時間」でOK。さらに登録すれば1日当たりの人件費もシミュレーションできるこのシステムを、世界的にも販売していきたいと念じている次第です。